M&A・事業承継

「いつかは事業承継を…」と思っているうちに失う3つのもの|中小企業オーナーが先送りで後悔する理由

📖 約10分 2026-06-09

「いつかは事業承継を…」と思っているうちに失う3つのもの|中小企業オーナーが先送りで後悔する理由


図: 事業承継の出口戦略(自社承継 / 第三者M&A)
図: 事業承継の出口戦略(自社承継 / 第三者M&A)

「いつかは…」と思っているうちに、5年が経っていませんか?

中小企業の社長から、こんな声をよく聞きます。

「事業承継、考えてはいるんだけど、まだ早いかなと」
「息子は他社で働いているし、継ぐ気はないみたい」
「M&Aって言葉は聞くけど、何から始めればいいか分からない」

帝国データバンクの調査によると、国内中小企業の 約64%が「後継者未定」。さらに経営者の平均年齢は 62.3歳(2024年・東京商工リサーチ)。

そして衝撃的な事実があります。 「事業承継を考えはじめてから動き出すまでの平均期間は2.7年」(中小企業庁・事業承継ガイドライン 2024)。

このコラムは、そんな社長さんに向けて書きました。

「相場より高く売れるはず」「時間はまだある」「大手仲介なら安心」—— こうした"よくある思い込み"が、実は 承継の選択肢を狭め、最終的な売却額を下げる原因 になっていること。

3つの誤解と、その先の選択肢をご紹介します。


このコラムでわかること

  1. なぜ「相場より高く売れるはず」が幻想なのか
  2. 「まだ時間がある」と思っているうちに失う3つのもの
  3. 大手仲介に頼めば本当に安心なのか
  4. 中小企業オーナーが取るべき第1歩
  5. M&Aが向いている会社・向いていない会社
  6. 山口県で相談できる先

誤解① 「相場より高く売れるはずだ」という思い込み

📷 ケース①ビジュアル: 価格交渉で見つめ合う売り手と買い手の経営者

【ケース1:山口県の製造業A社(仮想・従業員32名)】

社長(68歳)は3年前から漠然と「いつかは譲渡」と考えていました。

「うちは創業60年、地域でも知られている。最低でも 売上の0.5倍、つまり 5億円 は固いだろう」

しかし、買い手候補が現れて評価を受けると——

社長が想定していた 5億円の 半分以下 が現実値でした。

社長のコメント: 「思っていた金額の半分。これでは引退後の生活設計が狂ってしまう」

この問題の本質

経営者は「自社が積み上げてきたもの」を見ます。買い手は「これから生み出せるもの(将来キャッシュフロー)」を見ます。この視点の違いが、価格ギャップの正体です。

中小企業M&Aで使われる主な評価方法は3つ:

評価方法 内容 向き
マルチプル法(EV/EBITDA) 業界平均の倍率に営業利益等を掛ける スピード重視・売買成立しやすい
DCF法 将来CFを現在価値に割り引く 精度高いが前提置きが複雑
純資産法(時価修正) 貸借対照表ベース 赤字企業・不動産多めに向く

よくある減点要素: - 顧客集中度(上位3社で売上70%超) - キーマン依存(社長個人スキルへの依存度) - 設備の老朽化 - 後継者の不在による組織継続リスク - DX未対応による将来の効率性懸念


誤解② 「まだ時間がある」と思っているうちに失う3つのもの

📷 ケース②ビジュアル: カレンダーと健康診断結果を前にする経営者

【ケース2:山口県の卸売業B社(仮想・従業員18名)】

社長(72歳)は「いつかは…」と思いながら、5年が経っていました。

そんなある日、健康診断で要精密検査の判定。動く決断をしましたが——

社長のコメント: 「動き出すのが3年早ければ、選択肢も価格も全く違っていた

先送りで失う3つのもの

1. 価格    : 評価減点要素が増える時間 = 売却額が下がる
2. 選択肢  : 健康・体力・気力 = 交渉力
3. 時間   : 引き継ぎ・関係構築 = スムーズな承継

M&Aプロセスの標準期間は1〜3年

フェーズ 期間 やること
準備 3〜6ヶ月 企業評価・IM作成・減点要素潰し
マッチング 3〜6ヶ月 ノンネームシート打診・買い手選定
交渉 3〜6ヶ月 LOI(意向表明書)・DD(デューデリ)
クロージング 2〜3ヶ月 SPA(最終契約)・引き渡し

つまり「動き出して最短1年・標準2年」。健康・体力が必要な活動なので、60歳になったら「考え始める」ではなく 「動き始める」 が正解です。


誤解③ 「大手仲介に頼めば安心」という信仰

📷 ケース③ビジュアル: 複数のM&A仲介会社のパンフレットを比較する経営者

【ケース3:山口県のサービス業C社(仮想・従業員22名)】

社長(65歳)は「大手なら安心」と考え、知名度の高い仲介会社を選びました。

しかし、進めていくうちに違和感が——

社長のコメント: 「最初は安心感があったが、地域の中小企業の特殊事情を理解してくれない」

仲介型ビジネスの構造的論点

大手M&A仲介会社は「両手取引」を前提に手数料体系を組み立てています:

売り手 ──仲介手数料──→ 仲介会社 ←──仲介手数料── 買い手

両方から手数料を取るため、構造的に 「成立を優先」 する力学が働きます。それ自体は違法ではないですが、売り手の利益を最大化する立場とは異なる場合があります。

手数料体系の透明性で比較:

形態 売り手手数料 透明性
大手仲介A社 譲渡額の5%(最低1,500万円) △ 計算式複雑
中堅仲介 レーマン方式(5-3-1%) ◯ 標準的
地域専門FA レーマン方式 + 売り手専従 ◎ 売り手の立場明示
合同会社RYDEEN 段階逓減型レーマン方式(明示) ◎ 中小M&Aガイドライン準拠

では、中小企業のオーナーは何をすればいいのか

ケース1〜3を見れば分かる通り、M&A・事業承継は「正しい時期に、正しい相手と、正しい知識で」進める必要があります。

正しい順番はこれ:

📊 ※ 図解は本記事用に作成中です

知っておくべき4つの書類

書類 フェーズ 説明
ノンネームシート 準備 社名非開示の会社概要・最初の打診用
IM (情報メモランダム) マッチング 財務・事業の詳細・NDA締結後に開示
LOI (意向表明書) 交渉 買い手の条件提示・法的拘束力なし
SPA (株式譲渡契約書) クロージング 最終合意・表明保証・補償条項を含む

M&Aが「向いている会社・向いていない会社」

向いている会社 向いていない会社
経営者が60歳以上 後継者育成中で時間に余裕がある
後継者不在または候補が継ぎたがらない 親族内で承継準備が進んでいる
直近3期黒字 直近赤字続きで再建が先
5年以内に動きたい意思がある 「いつかは…」のままでいい
顧客・取引先が一定数いる 経営者個人スキルへの依存度が極端に高い

セルフチェック

以下のうち4つ以上あてはまれば、企業評価依頼を始めるタイミングです。


まとめ:3つの誤解と、解決のヒント

誤解 よくある選択 解決のヒント
① 相場より高く売れる 自己評価で固持 3年計画で減点要素を潰す
② まだ時間がある 「いつかは…」で先送り 60歳になったら動き始める
③ 大手仲介なら安心 知名度で選ぶ 売り手専従+手数料透明

M&A・事業承継は、経営者人生の集大成。先送りは選択肢を狭めるだけです。 今すぐ「企業評価だけでも」依頼することから始めてください。


📷 対話シーン: M&Aアドバイザーと経営者の信頼ある対話

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