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日本人が来んけん外国人、で決めていい?──特定技能の基礎と、後悔しない5つの見きわめ

松添 栞士郎 🗓 2026.08.07 ⏱ 約10分
人材 日本人と外国人、まず並べて見る。
特定技能の基礎と、5つの見きわめ。
目次
  1. 日本人採用と外国人採用を、表で並べる
  2. 見きわめ① 日本語の機微が、どれだけ要る仕事か
  3. 見きわめ② 教育とサポートのお金、うちで払えるか
  4. 見きわめ③ 何年、居てほしいのか
  5. 特定技能って、そもそも何?(基礎)
  6. 特定技能で採るまでの流れ(図解)
  7. 見きわめ④⑤ 社内の反応と、5年後の会社像
  8. もう一歩くわしく:用語・つまずき・ケース
  9. よくある質問

「日本人を募集しても、来ん。だから外国人を採るしかないやろ」。周南の社長さんに、何度も言われた言葉です。気持ちは、痛いほど分かります。でも、その「消去法」で決めると、たいてい後でつまずきます。この記事では、日本人採用と外国人採用を表で並べ、特定技能の基礎、採るまでの流れ、後悔しない5つの見きわめまで、順番に置いていきます。

01日本人採用と外国人採用を、表で並べる

うちの仕事は、どっち向き?言葉の機微が、仕事の質を決め日本人採用が向きやすい手順とリズムで回る作業が中心外国人採用がフィットしやすい長く、柱として働いてほしい特定技能2号・高度人材(給与は同等以上)
図:うちの仕事は、どっち向き?

先に言わせてください。日本人雇用も、外国人雇用も、どっちも正解です。ダメなのは「来ないから、こっち」で決めること。まずは2つを、同じ物差しで並べて見ます。

見る点日本人採用外国人採用(特定技能など)
採りやすさ求人広告に月10万円かけても、応募ゼロが続くことも母集団を広げられる。人は見つけやすい場面が多い
日本語高い。細かいニュアンスまで通じる特定技能でN4レベル。現場ではN3くらい欲しいのが本音
教育・サポート費基本いらない生活支援など。外注なら登録支援機関に月3〜5万円/人
定着の前提本人次第。長く働ける特定技能1号は原則3〜5年で帰国
向く仕事言葉の機微が要る仕事手順とリズムで回る仕事
見えにくいコスト「そもそも来ない」という採用コスト教育・生活・支援の手間

▷ 注意:「外国人は安い」で計算すると、まず外れます。教育・生活・支援を足すと、手取りの差は思ったより縮みます。給料の額面だけで比べないでください。

ざっくりの見当は、この分岐で付きます。

「うちの仕事は、どっち向き?」で見当をつける
言葉の機微が、
仕事の質を決める
日本人採用が
向きやすい
手順とリズムで
回る作業が中心
外国人採用が
フィットしやすい
長く、柱として
働いてほしい
特定技能2号・
高度人材を軸に

02見きわめ① 日本語の機微が、どれだけ要る仕事か

いちばん大事な軸です。うちの仕事は、言葉の細かいニュアンスが要るのか。そこから見ます。

介護の現場なら、お年寄りの体調の変化を、会話の端から察する。建設なら、親方の「あれ持ってこい」の"あれ"を読む。こういう仕事は、外国人にとってハードルが高い場面が多い。逆に、言葉より手順とリズムが効く仕事は、フィットしやすいです。製造ラインの組立、清掃、農業の収穫。手が覚える仕事です。

ざっくり、こんな見取り図で考えてみてください。

▷ ここがコツ:「うちの仕事」とひとくくりにせず、作業を工程で分けて見る。同じ会社でも、ラインは外国人が強くて、電話応対は日本人向き。そんな風に、工程ごとに割り振れます。

03見きわめ② 教育とサポートのお金、うちで払えるか

日本語教育(N4→現場はN3欲しい)生活のサポート(住まい・口座・役所)文化の研修(宗教・食・働き方の前提)定着のサポート(心細さ・家族との連絡)社内で吸収できなければ、登録支援機関へ月3〜5万円/人が目安
図:求人票に出てこない、見えにくいお金

外国人雇用には、求人票に出てこない、見えにくいお金がかかります。ここを甘く見ると、あとで効いてきます。

これを社内で吸収できる体制があるか。なければ、登録支援機関への外注になります。目安で月額3〜5万円/人。人数が増えれば、この分もかさみます。求人票に出てこない費用を、表にまとめておきます。

見えにくい費用中身目安
支援の外注登録支援機関に生活支援などを任せる月3〜5万円/人
日本語教育N4からN3へ。現場で通じる力まで教材・講座で変動
生活の立ち上げ住まい・銀行口座・役所の手続き入り口でまとまる
文化・定着研修、面談、母国の家族との連絡手間として効く

日本人雇用なら、こういうサポートは基本いりません。ただし、日本人には「そもそも来ない」という別のお金がかかる。求人広告に毎月10万円かけて、応募ゼロが続く。あの現実です。どっちにも、コストはあります。

▷ 注意:「外国人は安い」で始めた社長ほど、あとで「思ったより手がかかった」と言います。額面の給料だけで、決めないでください。

04見きわめ③ 何年、居てほしいのか

ここは、意外と見落とされます。同じ「外国人」でも、制度で先が全然ちがいます。

技能実習や特定技能1号は、原則3〜5年で帰国します。これは「人を採る」というより、「期間限定の戦力」を確保する話。3年かけて覚えてもらった技能が、また消える。それを受け入れられるか、です。

もうひとつが、特定技能2号や高度人材。こちらは永住も前提にできます。社内の文化にもなじむし、仕事の引き継ぎもずっとスムーズ。ただし、永住前提の人は給与水準が日本人と同等以上になります。「外国人だから安く」は、もう通用しません。

▷ ここがコツ:先に「うちは何年、居てほしいのか」を決める。3年でいいのか、10年一緒に働きたいのか。そこが決まると、選ぶ制度は自然としぼれます。

「うちの仕事なら、日本人と外国人、どっち?」
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05特定技能って、そもそも何?(基礎)

「外国人採用=特定技能」と思われがちですが、特定技能は制度の名前です。ざっくり押さえると、こうです。

この1号と2号は、先の見え方がまるで違います。並べて見ます。

見る点特定技能1号特定技能2号
在留の期間原則3〜5年で帰国更新でき、永住も見えてくる
家族の帯同基本なし条件を満たせば可
給与の水準日本人と同等日本人と同等以上
向く狙い期間限定の戦力長く働く柱

技能実習との違いも、よく聞かれます。技能実習は「学んで母国に持ち帰る」のが建前。特定技能は「即戦力として働いてもらう」のが建前です。目的が、そもそも違います。

▷ 注意:在留資格の要件(対象の分野・試験・在留の期間・家族帯同の可否)は、制度改正で変わります。採る前に、必ず出入国在留管理庁など公式の最新情報で確認してください。

06特定技能で採るまでの流れ(図解)

はじめての人がつまずくのが、この流れ。全体を先に見ておくと、段取りが組めます。

STEP 1
受け入れ体制を決める
住まい・教え方・支援の担当。採る前に、社内で固める。
STEP 2
人材を探す
登録支援機関・紹介・送り出し機関。ルートを選ぶ。
STEP 3
在留資格を確認・申請
対象分野か、要件を満たすか。ここは要確認。
STEP 4
登録支援機関と契約
支援を外注するなら、目安で月3〜5万円/人。
STEP 5
入国・生活の立ち上げ
住まい・銀行口座・役所の手続き。会社が絡む。
STEP 6
就労開始と定着支援
面談と相談の窓口。心細さを、放置しない。

▷ 注意:体制を作らずに「安く人手が増える」で始めると、まずつまずきます。支援の手間まで見て、順番を間違えないでください。

07見きわめ④⑤ 社内の反応と、5年後の会社像

見きわめ④ 日本人の社員が、どう反応するか

これ、忘れがちですが、めちゃくちゃ大事です。外国人を入れると、必ず日本人の社員から反応が出ます。だいたい3つに分かれます。

この抵抗派が3割を超えると、職場が割れます。せっかく採っても、現場がギスギスして続かない。だから採る前に、社長が全員に「なぜ外国人を採るのか」を、自分の口で説明する。ここを飛ばすと、あとで倍もめます。

▷ 注意:「入れてから、おいおい説明」は事故のもと。決めた理由を、先に、全員に。順番を逆にしないでください。

見きわめ⑤ 5年後、どんな会社にしたいか

最後は、いちばん引いた目線です。そもそも、5年後どんな会社にしたいのか。そこから逆算すると、答えが変わります。

「人手が足りないから採る」ではなく、「5年後こうしたいから、採る」。この順番で考えると、選択肢は勝手にしぼれていきます。日本人でも、外国人でも、選び方を間違えなければ、会社は続きます。地元の若い子が「ここで働いてもええかな」と思える理由にもなります。

08もう一歩くわしく:用語・つまずき・ケース

用語を、かみ砕く

用語この記事での意味
特定技能人手不足の分野で働ける在留資格。1号は原則3〜5年、2号は更新できる
技能実習「学んで母国に持ち帰る」建前の制度。採用として考えるなら特定技能が中心
登録支援機関生活や手続きの支援を外注する先。目安で月3〜5万円/人
N4/N3日本語能力の目安。特定技能はN4。現場ではN3くらい欲しいのが本音

よくあるつまずきと、直し方

つまずき直し方
「来ないから外国人」の消去法で決めるどっちも正解。ダメなのは決め方。5つの見きわめで
額面の給料だけで「安い」と計算する教育・生活・支援を足すと差は縮む
社員に説明せずに受け入れる抵抗派が3割を超えると職場が割れる。社長の口で「なぜ」を
5年後を考えずに1号で揃える何年居てほしいかを先に決める
特定技能2号・高度人材(給与は同等以上)日本人採用が向きやすい特定技能1号(3〜5年)工程を分けて一部を任せる手順とリズムで回る言葉の機微が要る長く柱とし短期の戦力でいい
図:仕事の性質×居てほしい年数で見る

ケースで見る(仮の例)

周南の製造業(社員30名・仮の例)。「日本人が来ないから」で特定技能2名を受け入れ。受け入れ前に社長が全員の前で話したのは一度だけ。3か月後、現場から「指示が通じない」「なぜうちが」という声。

やり直したのは、社内の側でした。工程を分け、言葉があまり要らない作業から任せる。日本人社員には「なぜ外国人を採るのか」を、社長が自分の言葉でもう一度。支援は登録支援機関に頼みつつ、月1回は社長が本人と話す時間を作った。

半年後、現場は落ち着き、2名は戦力になりました。決め方を間違えていたのではなく、受け入れ側の準備を飛ばしていた。外国人雇用は、採る前の社内の準備が9割です。

▷ ここだけは
  • 消去法で決めない。5つの見きわめで
  • 額面ではなく、教育・生活・支援を足した費用で
  • 社員への説明と、工程の分け方。受け入れ側の準備が9割

09よくある質問

特定技能と技能実習は、何が違うの?
目的が違います。技能実習は「学んで母国に持ち帰る」のが建前。特定技能は「即戦力として働いてもらう」のが建前です。採用として考えるなら、特定技能が中心になります。
日本語は、どれくらいできる?
特定技能でN4レベルが目安です。ただし現場では、N3くらい欲しいのが本音。工程を分けて、言葉があまり要らない作業から任せると回しやすいです。
費用は、月いくらかかる?
支援を登録支援機関に外注するなら、目安で月3〜5万円/人。ほかに、住まいや口座など生活の立ち上げにもお金がかかります。額面の給料だけで見ないでください。
ずっと働いてもらえる?
特定技能1号は、原則3〜5年で帰国します。長く働いてほしいなら、2号や高度人材の道を先に考えておく。ただし永住前提の人は、給与が日本人と同等以上になります。
「外国人は安い」って本当?
思い込みです。教育・生活・支援を足すと、手取りの差は縮みます。安さで選ぶと、まず後悔します。仕事とのフィットで選んでください。
松添 栞士郎
合同会社Ring's 代表 / 山口・周南で中小企業の経営に伴走
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