「求人を出しても、電話が一本も鳴らんのよ」。周南の社長さんに、何回言われたか分かりません。求人サイトに何十万も払った。給料も上げた。それでも応募ゼロ。先に、ひとつだけ言わせてください。応募が来ないのは、あなたの会社が悪いからじゃありません。やり方が、今の若い子の動き方に合ってないだけ。お金をかけるより先に、やることがあります。よくある3つの勘違いと、その直し方を、順にいきます。
01応募が来ないのは、会社のせいじゃない
応募ゼロで悩む社長さんには、共通点があります。「もっといい方法にお金をかければ、来てくれるはず」。この発想で、求人サイトを増やし、給料を上げ、それでも変わらず、疲れていく。うちも同じ現場で悩んできたから、きれいごとは書きません。まず、この3つの勘違いを、正体から見ていきます。
02勘違い①「もっといい求人サイトを使えば、来てくれる」
周南の建設会社の社長さん。1年で、求人サイトをいくつも試しました。合わせて1年で140万円。応募はぽつぽつ来ても、採用はゼロ。ひとり採れても、半年で辞めた。社長の口ぐせは「最近の若い子は、何を考えとるか分からん」。
ここに、大事な見落としがあります。今の若い子は、求人票だけを見て応募しません。気になったら、まず会社名でスマホ検索する。公式サイト、社長の顔、働いている人の様子、口コミ、インスタ。この順で見て、「なんか微妙やな」と感じたら、応募ボタンを押す前に画面を閉じます。
会社のネット上の見え方が古いままだと、求人広告にいくらお金をかけても応募は来ません。広告費の前に、見られる場所を整える。そこが先です。
▷ ここがコツ:一度、自分の会社名でスマホ検索してみてください。若い子が見ている画面が、そのまま出てきます。5年前のまま止まっていたら、そこが最初の直しどころ。
03勘違い②「給料を上げれば、応募が増える」
周南の卸売会社。社長は思い切って、営業の月給を20万円から25万円に上げました。応募は月1件から月3件へ、たしかに増えた。入ったのは3人。ところが1人は3ヶ月で「思っていた仕事と違う」。1人は半年で他社へ。残った1人も、いちばんの理由は「給料」。
社長のことばが、すべてを言っています。「給料で釣ると、給料で辞める。もっと払う会社が出たら、すぐ行く」。
求職者が会社を選ぶ決め手は、給料だけではありません。転職の決め手を聞いた調査では、上位に来るのは仕事内容・やりがい、会社の雰囲気・人間関係。給与・待遇は、その次に来ます。上の2つは、お金では伝わりません。だから、みんな会社のネットを見に来ます。
▷ ここがコツ:給料で勝負すると、体力のある大企業に必ず負けます。中小の武器は「顔が見えること」。誰と、どんな空気で働くか。それが伝わる会社が、地方では強い。
04勘違い③「採用さえできれば、あとは現場で育つ」
周南の介護施設。半年かけて、念願の20代スタッフを採用しました。ところが入社後の現実は、こうでした。
- 初日、先輩が忙しくて10分しか話せなかった
- 1週目、仕事の流れが分からず、見よう見まねで対応
- 1ヶ月目、「私、この仕事に向いてるんでしょうか」と相談
- 3ヶ月目、「もう少し落ち着いた職場を探したい」と退職届
採用にかけたお金と時間、約80万円が、3ヶ月で消えました。ここでの見落としは、はっきりしています。「採用」と「定着」を、同じものだと思っていること。採用にはお金と時間をかける。でも入った後のフォローは、現場任せ。これでは辞めます。
採用と定着は、まったく別の仕事です。並べて見てください。
| くらべる | 採用 | 定着 |
|---|---|---|
| やること | 求人票・面接・ネット上の見え方 | 最初の受け入れ・1ヶ月と3ヶ月の面談・困ったとき相談できる相手 |
| 効くタイミング | 入る前 | 入った後 |
| 手を抜くと | 応募が来ない | 入っても、辞める |
多くの会社が「採用に5、定着に1」の配分になっています。これを逆にする。「採用に3、定着に7」。それだけで、人が辞めなくなります。
▷ 注意:辞めた理由を「本人の甘え」で片づけると、次も同じことが起きます。最初の3ヶ月に、ちゃんと話を聞く場が一回でもあったか。そこだけ、振り返ってみてください。
中小の武器は、顔が見えること。
05勘違い vs 正解を、表で見比べる
3つの勘違いと、その直し方を、並べて見てください。やりがちなことの反対側に、答えがあります。
| つい、こうしがち(勘違い) | 本当は、こう直す(正解) | 効くところ |
|---|---|---|
| 求人サイトを 増やす | ネット上の見え方を整える。会社名で検索して出る画面を、若い社員と一緒に見直す | 応募が入り口で消えるのを止める |
| 給料を 上げる | やりがいと雰囲気を、言葉と写真にして伝える。誰と、どんな空気で働くかを見せる | 給料以外で選ばれる理由を作る |
| 採用できれば あとは現場 | 採用と定着を分けて設計する。最初の1ヶ月・3ヶ月に面談を入れる | 入った人が辞めなくなる |
お金の話は、この後で十分です。まずは、右側の列から手をつけてください。
06お金をかけずに、今日から直す3つ
3つの勘違いに共通するのは、「会社の見え方」と「入った後」です。ここを、お金をかけずに整える。まずはこの3つから。
- 自分の会社名でスマホ検索して、出てくる画面を若い社員と一緒に見る
- 社長の顔と、働く人の様子を、1枚でもネットに載せる
- 入って最初の1ヶ月・3ヶ月に、5分でいいから面談を入れる
順番も大事です。広告にお金をかけるのは、いちばん最後でいい。この流れで動いてください。
これだけで、応募と定着は変わります。立派なものは要りません。人が見えるだけで、印象は変わります。
07地元の学生と、ちゃんとつながる
見え方を整えたら、次にできることがあります。地元の学生と直接つながる仕組みを持つこと。うちがやっている周南圏域特化の採用アプリ「社長の顔」も、そのひとつです。数字で見ると、こうなっています。
- 周南圏域の学生 753人 が登録している
- 使っている地元企業は 15社
- 会った学生とは、面接まで 100% 進んでいる
- 料金は 月3万円から。採用できても、紹介手数料はゼロ
大手の人材紹介だと、採用ひとりで年収の3割。数十万から百万円かかることもあります。地元に特化して、顔の見える採用に振り切ったのが「社長の顔」です。合う・合わないはあるので、まずは自社の見え方を整えることから、で十分です。
▷ ここがコツ:地方の中小企業は、大企業のマネをする必要はありません。若い子が見ているのは、会社の物語と、そこにいる人。そこで勝負できるのは、むしろ小さい会社の方です。
08もう一歩くわしく:用語・つまずき・ケース
用語を、かみ砕く
| 用語 | この記事での意味 |
|---|---|
| 見え方 | 会社名でスマホ検索したときに出てくる画面。公式サイト・社長の顔・口コミ・SNS |
| 給料で釣ると給料で辞める | 決め手が給料だけだと、もっと払う会社に移る |
| 採用と定着 | 入るまでと、入ったあと。別のもの。定着のフォローが抜けると採用費が消える |
| 社長の顔(アプリ) | 周南圏域特化の採用アプリ。学生と地元企業を直接つなぐ。月3万円から、紹介手数料なし |
よくあるつまずきと、直し方
| つまずき | 直し方 |
|---|---|
| 求人サイトを増やす | 若い子は求人票の前に会社を検索する。見え方が先 |
| 給料だけ上げる | 仕事内容・雰囲気・人間関係が上位。給料はその次 |
| 入った後は現場任せ | 最初の1か月・3か月に5分の面談を入れる |
| 自社の検索結果を見たことがない | 若い社員と一緒に、会社名で検索してみる |
ケースで見る(仮の例)
周南の設備工事会社(社員22名・仮の例)。年140万円を求人サイトに使い、採用ゼロ。若い社員と一緒に会社名で検索すると、出てきたのは古いタウンページ情報と、社名の似た別会社。
お金をかけずに3つ。社長の顔写真と働く人の様子を1枚ずつ載せた。採用サイトを作り直すのではなく、今あるページの古い情報を消して新しくした。入社1か月・3か月の面談を5分ずつ入れた。
半年後、求人サイトの費用は半分にしたのに、応募は増えた。「社長の顔が見えたから」と言った学生がいた。採用の最初の一歩は広告ではなく、見え方です。
- 会社名でスマホ検索。若い子が見る画面を見る
- 給料は後。仕事と雰囲気が先
- 入った後の5分面談。定着まで含めて採用