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「人が足りん」を、採る・育てる・諦めるの3方向で組み立て直す

松添 栞士郎 🗓 2026.08.07 ⏱ 約9分
人材 人手不足を、3方向で組み立て直す。
採る・育てる・諦める(自動化)。
目次
  1. 「採る一本」から、抜け出す
  2. 3つの方向を、表で見比べる
  3. 採る ── やめなくていい。ただ「期待値」を変える
  4. 育てる ── 即戦力を諦めて、社内で育てる
  5. 諦める(自動化)── 「やらない仕事」を決める
  6. 3つを、同時に動かす
  7. もう一歩くわしく:用語・つまずき・ケース
  8. よくある質問
  9. 今日からの一歩

「人が足りん」「求人を出しても来ん」「採れても、すぐ辞める」。地方の社長さんと話すと、9割がこの3つを言います。これは景気の話ではありません。日本の働く人の数は、この先も大きく減っていく見込み。「景気が戻れば人が来る」では、もう追いつきません。だから、「採る」一本やりから抜け出す。採る・育てる・諦める。この3つで、会社を組み立て直します。

01「採る一本」から、抜け出す

人手不足は、この先10年以上続く構造の変化です。「いつか人が来れば」と願っても、状況は変わりません。日本の働く人の数は、2030年までに約650万人減るとも言われます。減っていく方向は、もう動かせません。

でも、3つで組み立て直した会社は、この時代だからこそ強くなれます。本当に大事な仕事に、本当に必要な人を回せるようになるからです。

▷ 注意:「2030年までに約650万人減」という数字は、試算の前提や範囲によって幅があります。減少が続く向きは変わりませんが、正確な数字を使うときは出典を確認してください。

023つの方向を、表で見比べる

40%採る30%育てる30%諦める(自動化)同時に動かす比率は例。正解は会社ごとに違う。0に近い軸から手をつける
図:3つは選ぶものではなく、組み合わせるもの

まず全体像を、表で押さえます。3つは、どれか1つを選ぶものではありません。組み合わせて使うものです。

方向こんな時に効くやること気をつけること
採る欠員が出た。現場が回らない会社の顔を出す。相場の+10〜20%。カジュアル面談。外国人も選択肢にコストは上がる。定着しないと消耗する
育てる即戦力が、採れない未経験者を半年で戦力にする仕組み。マニュアル。毎月の面談育つ間、現場が一時的に薄くなる
諦める
(自動化)
そもそも仕事の量が多すぎるやらない仕事を決める。クラウド・AIで自動化。会議を減らす何を残すかの見極めが要る

どこから手をつけるかは、今いちばん困っていることで決めます。

「今、いちばん困っているのは?」で入口を選ぶ
欠員が出て、
現場が回らない
まず「採る」
即戦力が、
どうしても採れない
まず「育てる」
そもそも仕事の
量が多すぎる
まず「諦める」
(自動化)

この3つを、同時に動かす。順に見ていきます。

03採る ── やめなくていい。ただ「期待値」を変える

「採る」を諦める必要は、ありません。むしろ、要ります。ただし、今までと同じやり方では、もう結果は出ません。ここだけは、はっきりしておきます。

今まで、こうやってませんでしたか。

これからは、こう変えます。

「採る」のコストは、確実に上がります。それを受け入れる覚悟が、出発点です。

▷ ここがコツ:いきなり全部は変えられません。まず一つ。「面接の前に、15分の雑談を入れる」だけでも、辞退はぐっと減ります。お金のかからないところから始めてください。

04育てる ── 即戦力を諦めて、社内で育てる

多くの社長がハマる罠が、これです。「即戦力が欲しい」。気持ちは、痛いほど分かります。でも、即戦力は東京の大企業が押さえています。地方の中小が即戦力を採るのは、構造として難しい。ここで消耗しても、勝てません。

では、どうするか。答えは、「未経験者を、半年で戦力にする仕組み」を社内に作ることです。特別な才能はいりません。仕組みです。

これを、その場しのぎでなく仕組みとして作る。一度作ってしまえば、次からは「育てられる人」を採ればよくなります。採用のハードル自体が、下がります。

▷ 注意:マニュアルは、完璧を目指すと一生できません。まず一つの仕事だけ、A4一枚で。それを、新しく入った人に直してもらう。この回し方がいちばん続きます。

「うちは、採る・育てる・諦めるの、どこが弱い?」
山口・周南の現場に合わせて、いっしょに見ます。

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05諦める(自動化)── 「やらない仕事」を決める

今の会議(月)月10時間「やらない」を決めた後月3時間空いた7時間を、大事な仕事に回す
図:「やらない仕事」を決める。会議の例

3つの中で、いちばん難しい方向です。「人が足りん」と言いながら、毎日やってる仕事を全部そのまま維持しようとする会社が、本当に多い。でも、人が足りないなら、仕事の量を減らすしかありません。ここから逃げられません。

たとえば、こういう「諦める」があります。

今の会議(例)
月10時間
「やらない」を決めると
月3時間

「これも大事」「あれも大事」と全部抱えていたら、人手不足は永遠に終わりません。社長の仕事は、「やらない」を決めることです。増やすことではありません。切った先に、空いた手が返ってきます。

063つを、同時に動かす

大事なのは、3つの組み合わせです。どれか一つに頼ると、こうなります。

3つを同時に動かすから、この時代を乗り切れます。あなたの会社の比率は、どうですか。たとえば「採る4割/育てる3割/諦める3割」。こんなバランス感覚で、一度組み立て直してみてください。

▷ ここがコツ:正解の比率は、会社ごとに違います。今できていない軸から手をつけるのがコツ。ほとんどの会社は「諦める」が0割です。まずそこに、1割を作るだけで景色が変わります。

07もう一歩くわしく:用語・つまずき・ケース

用語を、かみ砕く

用語この記事での意味
採る・育てる・諦める人手不足を組み立て直す3つの方向。選ぶものではなく、組み合わせるもの
期待値を変える「採る」をやめない代わりに、やり方を変える。会社の顔・カジュアル面談・相場+10〜20%
育てる仕組み未経験者を半年で戦力にする社内の仕組み。マニュアル・教え方・仕事の単位
諦める(自動化)やらない仕事を決めること。もうからない取引・ロングテール・会議・事務作業の自動化

よくあるつまずきと、直し方

つまずき直し方
「採る」一本で消耗する3軸を紙に書き、0に近い軸から手をつける
即戦力を東京の大企業と取り合う未経験者を半年で戦力にする仕組みを作る
仕事の量を減らさずに人だけ探すやらない仕事を決める。会議・商品ライン・エリア
マニュアルを完璧に作ろうとするA4一枚から。新しく入った人に直してもらう
ある会社の比率(前)・ 採る 10割・ 育てる 0・ 諦める 0・ → ベテランが抜けると回らない人は1人しか増えていない1年後✓ 採る 5割(期待値を変えた)✓ 育てる 3割(A4マニュアル)✓ 諦める 2割(遠方・会議を減らした)
図:比率を組み替えた会社(仮の例)

ケースで見る(仮の例)

周南の配管工事(社員14名・仮の例)。3軸を紙に書くと、採る10割・育てる0・諦める0。ベテランが抜けると回らない構造でした。

まず「諦める」に1割。遠方の現場を外し、月10時間の会議を3時間に。次に「育てる」。一つの作業をA4一枚にして、新人に直してもらう回し方に。「採る」は続けたが、求人票を「働く1日」で書き直し、給料を相場+10%に。

1年後、比率は採る5・育てる3・諦める2。人数は1人しか増えていません。でも現場は回るようになった。増えたのは人ではなく、仕組みと余白です。

▷ ここだけは
  • 3軸を紙に書く。0に近い軸から
  • 即戦力を諦めて、半年で戦力にする仕組みを
  • 仕事を減らす勇気。それも「採用」の一部

08よくある質問

何から手をつければいい?
まず3軸を紙に書き出して、いちばん0に近い軸から着手してください。ほとんどの会社は「諦める」が0割です。そこに1割を作るだけで、動きが変わります。
「諦める」って、売上を捨てること?
違います。もうからない取引や、売れないロングテールを整理して、空いた手を大事な仕事に回すこと。事務作業をAIで自動化するのも「諦める」の一つです。売上を守るための整理です。
育てる仕組みは、何から作る?
一つの仕事を、A4一枚のマニュアルにするところから。完璧は目指さない。新しく入った人に直してもらう回し方が、いちばん続きます。
外国人採用も「採る」に入る?
入ります。母集団を広げる一手です。ただし「安く人手が増える」で始めると失敗します。受け入れ体制づくりが先。順番を、間違えないでください。

09今日からの一歩

むずかしく考えなくて大丈夫です。今日やることは、この順番で3つだけ。

STEP 1
紙に、3つ書き出す
採る・育てる・諦める。今の比率は、何割ずつか。
STEP 2
0に近い軸を探す
たいていは「育てる」か「諦める」。そこが伸びしろ。
STEP 3
来週やる1つを決める
マニュアルA4一枚。会議を1本やめる。小さくていい。

3つで組み立て直した会社は、人手が足りない時代だからこそ強くなります。少ない人で、大事な仕事だけに集中できるようになるからです。そういう会社が地元に増えれば、若い子が「ここで働きたい」と思える場所も増えます。

松添 栞士郎
合同会社Ring's 代表 / 山口・周南で中小企業の経営に伴走
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